行政書士開業準備中~墓じまい編18(応用編11)&生前契約編4

生前契約には幾つかの種類があります。

そのうちの一つが死後事務委任契約です。

死後事務委任契約とは、読んで字の如く自分が亡くなった後の事務処理を生前に契約しておくことだ。

死亡届、銀行口座の解約、電気・ガス・水道の契約解除、そして葬儀も含まれる。

最も家族がいるなら、結ぶ重要性はお一人様よりは高くない。

家族がするからだ。

問題はお一人様や家族と疎遠になっている場合だ。

この場合は信頼できる人と死後事務委任契約を結んでおく必要は高くなる。

「これはまさしく千代婆に当てはまるぞ」

 

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四朗さんは九州で一人ぶーたれてる千代叔母さんの為に、図書館に通って奮闘してます。

 

「さて、概略は分かってきた。千代婆に今日にでも電話しよう。信頼できる専門家と契約を結んで自分の意思を伝えてもらおう。しかし実家の墓じまいをしただけなのに、なぜ九州にいる千代婆の為にここまで頑張らにゃならんのか」

 

図書館を出ていったん帰ろうとするも一つ疑問が出てきた。

「ちょっと待てよ。息子さんは千代婆の骨をお墓に入れたがっている。しかし千代婆は反対だ。お墓に入りたくないという。これでは息子さんの意思と真っ向ぶつかる。息子さんの意思と契約。はたしてどちらが優先するのだろうか」

別の本を読んでみる。

お骨の所有権は一般的には、祭祀主催者。

例えば葬儀を取り計らったものがお骨の所有権を取得する考えが強い。

仮に息子さんが葬儀を取り計らうと、お骨は息子さんの物になる。

完全にぶつかる。

しばらく本を読み進めたが、正直判断に迷う。

 

これは千代婆に下駄を預けるしかないな。

 

「もしもし、川崎です」

「あら四朗さん、こんばんは。早速知らべてくれたのかしら」

「ええ、詳しい事は手紙に書いて送ります」

「あらそう、悪いわねぇ」

気持ち悪いくらいしおらしいぞ。お迎えが近いのか。

「千代叔母さん、亡くなった後の事を処理する契約っていうのがあります。それを千代叔母さんの身近にいる方と結んで欲しいのです」

「何だって?」

そうだよなぁ、わからないよなぁ。私だって良く分からないのだから。

「千代叔母さん、手紙を送るのでそれを読んでください」

「わざわざ悪いわねぇ」

「込み入った内容ですからね。あともう一つ教えてください。仮に嫁ぎ先のお墓に入らないのであれば、その後どうするつもりなのですか」

「そんな事考えてないよ」

「千代叔母さん、もしよければ私が申し込んだ納骨堂に入りませんか?私の母も入っています。寂しくないですよ」

「あら、あら、あらら。悪いわねぇ。良いのかい?私もそうなりゃ良いかなとは思ってたのよ。自分では言い出しにくくて」

やっぱり思っていたのか。まぁ今更一人増えたところで変わりはない。

「勿論構いませんよ」

そういって電話を切った。

 

因みに手紙には以下の事を記した。

まず、死後事務委任契約を結ぶ事。

そのうえで、二つの選択がある。

一つ目は千代叔母さんが嫁ぎ先のお墓に入りたくないという事を内容とする。

そしてお骨は千代叔母さんの望む方法で納骨する。

但しこれだと息子さんの意思と反することになり、どちらが優先するかは私では判断できない。

二つ目は葬儀後分骨をする事。

分けた骨は嫁ぎ先と、千代叔母さんの望む方法で納骨する。

これは千代叔母さんの望む方法でないかもしれないが、双方の顔を立てる事が出来る。

どちらを選ぶかは千代叔母さんにお任せします。

という内容だ。

 

昨年の墓じまいから色々あったが、これですべて終わった。

一つの事を除いては。