行政書士開業準備中~現在編24(刑法編⑤)

歩道の真ん中にチンピラとその彼女が居ます。

そこを家族連れが通りました。

今ブログをご覧になっている方々が、その家族連れの父親または母親だとします。

カップルでも良いです。

家族連れの父親またはカップルの彼氏が、そのチンピラに「歩道の真ん中に居るなこのボケ」と言う事は、表現の是非はともかく、間違ってはいないでしょう。

ではそのチンピラ、「貴方の仰る通りです。申し訳ありませんでした」なんて言うわけないですよね。

それが言える人間なら、歩道の真ん中に居ないでしょう。

 

量刑相場と言う言葉があります。

検察官の求刑の7掛けないし8掛けで判決を出す事を指します。

あおり運転の第1審判決が出ました。

懲役18年。

検察官の求刑が23年。

相場の範囲内です。

ここが限界かなという印象です。

 

今回のあおり運転の被告人の弁護士の方、可哀そうな事にネットで相当叩かれています。

仕事がらやむを得ないのでしょうが、辛い所です。

弁護士の主張は間違ってはいません。

弁護士の立場と、国家権力の一翼を担う検察官では、自ずから立場が違います。

 

今回の条文の適用の可否について。

検察官は、条文適用を主張。

弁護士は、条文適用を否定。

どちらの主張も、それぞれの立場からは納得できます。

 

1点だけ疑問があります。

 

大多数の方が、弁護士さんを非難しています。

気持ちは分かりますが、間違っています。

条文適用については、弁護士の立場としては、争うでしょう。

ただ、本気でこの被告人の情状酌量を狙ったとは思えません。

 

冒頭の事例は少しイメージしやすいように、あおり運転の事例の脚色です。

 

素人考えですが、条文適用の否定とともに、被告人の情状酌量を狙うのであれば、被害者の男性が言った言葉、「邪魔だボケ」を強く弁護側が主張する事もできたのではないでしょうか。

 

実際、車の中で、お嬢さんは、父親に何であんなこと言うのかと言ったという報道もあります。

ただ、私の知る限り弁護士が、被告人のマナー違反に対して、被害者の父親が発した言葉の評価について強く主張していないように思えます。

この言動は、正直ちょっとどうかなと思います。

恐らく、大多数の方も、「邪魔だボケ」という言葉は言い過ぎという印象を受けるのではないでしょうか。

考え方によっては、事件を誘発したフレーズの可能性も否定できません。

 

ここからは私の勝手な推測です。

今回の裁判官、検察官、弁護士三者に考えの相違はなかったでしょう。

つまり、被告人を許すべきではないという事です。

当たり前ですが、この三者は立場こそ違えど、司法試験の難関を突破して、司法研修所で同じ釜の飯を食べた仲間です。

法的思考つまりリーガルマインドはそう大きく違わないはずです。

 

もし皆さんが弁護士の立場に立ち、この被告人を弁護するとしたらどうされますか。

一つには、検察官の主張を全面的に認めた上で、被害者の言動が事件を誘発した可能性を主張することが考えられます。

そして、被告人に徹底的に謝らせる。

被告人の刑期を減らしたいのであれば、被害者の言動を取り上げざるをえません。

今回は、違いますよね。(被害者の方の言動にスポットライトを浴びせてないです。)

 

では、被告人に情状酌量させたくない、つまり有罪にしたい、刑期を減らさずにきっちり罪を償わせたいと思った時どうするか。

 

条文適用のみの争いであれば、all or nothingです。

つまり無罪か、例の量刑相場による判決です。

この戦略を取るなら、被告人の態度が悪いのも納得できます。

恐らく、弁護士からのアドバイスも少ないのでしょう。

裁判員、裁判官も人間です。

被告人の態度がどう影響するか、弁護士でなくとも想像できます。


はたして被告人の態度をあえて放置させている、そう感じるのは穿った見方でしょうか。

担当弁護士の心の奥底は、私達と違いはないと、私はそう思います。

 

後は、何が本当に正しいのかを、法曹三者の阿吽の呼吸で導くだけです。

 

くどいようですが、あくまで私の推測です。