行政書士開業準備中~現在編21(刑法編②)

あおり運転の続きです。

身近な方々から、何で弁護士はあんな奴の弁護をするんだ、という声がちらほら聞こえます。

当然と言えば当然です。

ただ仕事だから仕方ないと言ってしまうと、身も蓋もありません。

 

推定無罪という言葉は有名です。

有罪が確定するまでは、無罪と推定される以上、被告人の無罪を信じて弁護活動するという理由もあるのかもしれません。

ただ、今回は事実関係、つまり高速道路で無理やり停止させて死亡に至らせた経緯について争いはありません。

この行為、はっきり言って殺人行為です。

この殺人行為を処罰する事を、正面から定めた刑法の条文は、残念ながらありません。

弁護側が主張している事は、被告人の行為は刑法に規定がありませんよ。なので、こいつは無罪でしょと言っているだけです。

この行為を処罰する条文があれば、弁護側は情状酌量を主張するのが関の山です。

ではなぜこのような悪質な行為の弁護をするのでしょうか。

誤解を恐れずにいうと被告人を弁護しているのではなく、(勿論、形の上では弁護してます。)刑事手続きを弁護しているのです。

刑事手続きを弁護するという言い回しは変ですので、刑事手続きが適法に実施されているかの確認

と言った方が良いかもしれません。

 

日本では、このような悪質な被告人でさえ弁護士を付けて、裁判を行う事ができます。

そして、弁護士はこの刑事手続きが正常に行われているかを、弁護活動を通じて確認するわけです。

具体的には、逮捕をする際(現行犯逮捕・緊急逮捕を除く)令状が必要になります。その際に、不備はないか。

取り調べ段階に違法な事が行われていないか。

黙秘権が適切に行使できているか。

裁判の際、主張したい事ができているか等々です。

これは必要です。

私達だって、いつなんどき、たとえば痴漢冤罪等で事件に巻き込まれるかもしれません。

ですので、手続きに不備がないかを弁護士が目を光らせているわけです。

 

普通に考えれば、あおり行為を行った者を積極的に弁護したいという方はあまり居ないでしょう。

今回は、好きで弁護しているならともかく、ただの国選なら損な役回りかもしれません。

非難すべきは、弁護士ではなく、被告人です。

 

因みに、刑事事件では被告人と呼びますが、民事事件では、被告と呼びます。